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大阪高等裁判所 昭和43年(行タ)1号 決定 1968年3月27日

申立人 塚本正二

被申立人 大阪国税局長

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人の負担とする。

理由

行政事件訴訟法二五条二項は、処分取消しの訴の提起があつた場合には、裁判所は申立により、みぎ取消の対象とされた当該処分そのものについて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部を停止することができる趣旨を定めているのであつて、みぎ取消の対象とされた処分の存在を前提としてなされる他の処分(賦課処分は納税義務を確定させることを、滞納処分は確定した納税義務を強制的に履行させることを各目的とする別個の処分である。)についてまでも処分の効力等の停止をすることができる趣旨ではない。本件の場合、申立人は所得の賦課処分である税額の決定および更正決定の取消請求の訴を提起したことを理由として、みぎ決定および更正決定によつて賦課された所得税の滞納処分としての不動産公売処分の執行停止を求むるものであつて、所得税賦課処分そのものの処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止を求むるものではないから、みぎ申立は不適法なものとして却下を免れない。

よつて民訴法八九条を準用し主文のとおり決定する。

(裁判官 宅間達彦 長瀬清澄 古崎慶長)

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